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CMの、福山雅治演じる湯川学が、道路に数式を書くシーンと、テーマソングに釣られてドラマを見ました。爽やか朴念仁の大学時教授、湯川学のイラッとくるようなインテリ喋りと、視聴者の気持ちを代弁するように眉を潜める柴咲コウ演じる内海刑事が、いい掛け合いをしてくれていました。恋愛のような、相棒のような、友達のような、絶妙な二人の関係性に、ドキドキしたり、思わず笑ってしまったりするんです。東野圭吾原作の本格ミステリーでありながら、オリジナルのユーモアや、スタイリッシュな音楽、大掛かりな実験演出により、映像的にも飽きない内容で、思わず見入ってしまいます。映像作品として、質が高いのは間違いないと思います。福山雅治により制作され、柴咲コウが歌う、エンディング曲『KISSして』と、タイトルと推理シーンで流れる、福山雅治作曲の『知覚と快楽の螺旋』が、ユーモアたっぷりのほっこりする要素と、かっこよい推理シーンをそのまま表しているかのようです。とにかく全てに力が入った、おもしろすぎるドラマです。

主演の福山雅治については、言うまでもなく最高の配役でした。偏屈でナルシスト、かっこいいけど鼻につく、子供っぽい負けず嫌いな性格と、時折見せる感傷的な横顔。歌手としてのスター性と、無邪気さ、渋い声、ルックス、全てが湯川学にぴったりでした。原作小説も読んだのですが、この役は福山雅治以外にはできなかったのではないか、と考えてしまいます。柴咲コウ演じる内海刑事は、さらに上をいきます。原作小説を読んでいても、頭の中で柴咲コウが内海刑事となって出てくるくらい、見事に役づくりをされています。ツンとした、しかし女性らしい茶目っ気も持ち合わせた、絶妙な間合いを、見事に演じきっていらっしゃいました。このドラマにこの二人が起用されたのは、奇跡であり必然、と、そうとしか思えないほど、ぴったりなんです。ぜひドラマと原作、合わせて楽しいで欲しいです。きっと役者さんの演技に驚かされます。

物理学の教授・湯川学が物理学の視点で難解な事件のトリックを解き、それを立証して犯人逮捕に貢献するというドラマ。このトリックがかなり複雑で面白かったです。トリックを再現する為に付き合わされた湯川ゼミの学生たちは災難だったように思いますけどね。まあ普通の人間にこのトリックを解明するのは無理だと感じるレベルのものも多く、この事件はどういうトリックを使っているのかワクワクしました。ただ印象に残ったのは、弓矢のトリックで自殺した事件ですね。ヒロインの内海刑事は仕事なので、トリック解明はしなければいけません。でないと冤罪を生んでしまうわけですしね。それでもトリックを解明し、被害者が自殺だと判明した時には複雑そうな顔をしていました。何しろ被害者は生命保険を家族に残す為自殺したのですから。事件を解き明かしたことで自殺となり、保険金は降りなくなってしまった。こういう誰も救われない事件もあったのが印象的でした。

一番の注目キャストは本作の主人公である湯川学でしょう。主演は福山雅治でしたが、ピッタリでした。女子学生から人気のある教授だったわけですけど、ただの教授ならそこまで人気なんて出ません。イケメンだからこその人気なわけですし、爽やかイケメンの福山雅治との相性抜群でした。モテてるといっても、本人無自覚な所も面白いですね。恋愛関係の頭脳をすべて物理学に割り振っている、そんな感じで女性達がいくらモーションを掛けても通じず。こういう所も良かったです。内海刑事も最初はイヤそうな感じでしたけど、自分では決して解けなかったであろうトリックを見破る湯川に惹かれていきます。後半になると湯川に好意を持ってるのはバレバレだったのですが、鈍感な湯川には通じず。大人同士の恋愛なのに、中学生同士の初心な恋愛っぽい所も作品を面白くしてくれたと思います。

東野圭吾先生原作の作品であり、うまい具合にドラマ化できていたと思います。原作では、男性同士のタッグで描かれていますが、ドラマ版では女性と男性のタッグになっていまいた。このあたりは恋愛要素を取り入れうまく女性ファンを増やしたかったという狙いと、綺麗な女優さんを入れることでドラマに華をもたせたかったという意図が感じられます。小説で呼んでいるといまいちピンとこないシーンでもドラマでは、しっかりと情景が浮かぶのでイメージしやすくわかりやすかったです。要所要所で入ってくる福山雅治さんのトリックを明かすシーンがかっこよくて癖になりました。また、メインテーマが非常にかっこよく様々なバラエティーに応用されるほどです。歴史に残る名作品だと思います。

天才物理教授役として福山雅治さんが演じられていましたが、不思議で堅物なキャラを上手に演じていました。福山雅治さんのドラマはいろいろとありますが、このドラマでは本当に個性があってしっかりと雰囲気をつくっていてすごいと思います。実際はあんなにかっこいい物理教授はいないと思いますが、現実離れしている感じも良かったです。シーズン１では柴咲コウさんがヒロイン役として演じていましたが、振り回される役を見事に演じていてすごかったです。ピリッとしたできるOL役もこなせるし、こういった普通な女性警官も演じれるので本当に演技の幅が広いなと感心しました。渡辺いっけいさんも脇役ながらいい味を出していました。彼がいてこそドラマにゆとりが出たと思います。