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医療をテーマとし、医師の在り方を問うた骨太の作品でした。この作品で、権力志向の強い財前と理想の医療を求める里見は敵対し正反対の人物ように描かれていますが、結論はそこまで違いはないと感じました。最善の結果を出して患者の命を助けたいという想いは2人とも変わらないのです。
そのために財前は患者と距離を取り自分を大きく見せることで絶対の自信を示し、里見は患者に寄り添い彼らの声を聴くことで安心させる。アプローチが違うだけで患者を安心させるという目的に変わりがありません。財前の方法は、助けられなかった時に責任を問われやすいというだけなのです。現在の医療界では、すでに財前のやり方は通用しなくなりましたが、もしかすると彼のような言葉を待つ患者は意外と多い気のではないかとも思います。この作品を見て、医師が患者に絶対に助けると言えなくなった現状が少し寂しく感じました。

この作品では、主役の財前や里見以上に個性的で魅力ある人物がいました。それは、財前の義父である又一です。福島出身の西田敏行さんがみせた関西弁での演技は、欲の深い関西人の悪いイメージがそのまま現れた見事なものでした。特にそれを感じられたのが、財前を教授にするために岩田と共に鵜飼たちと交渉していく場面です。下心を隠すのではなく、あえてみせることで相手を口説き落とす又一の人間力に迫力を感じました。そして、彼が語った人間が最後に持つ欲は名誉欲だという言葉は、放送当時に聞いた時から今になっても忘れることができません。周囲から何と言われようと関係なく、欲を隠さず自分の欲しいものを求める又一こそが最も人として素直で裏のない人間なのではないかと感じます。

このドラマは、山崎豊子さんの原作をドラマ化した作品で、2クールかけて全21話の長編ドラマとして放送されました。フジテレビの開局45周年記念ドラマとして作成されたこともあり、豪華な俳優陣を揃えていて、前評判の高いドラマでした。その前評判に違わず、俳優陣がそれぞれ存在感を示し、かつ丁寧に練られた脚本によりとても見応えのある作品になったと思います。主人公の財前五郎を中心として展開される大学病院の教授の椅子をめぐる権力闘争、そしてドラマ後半の医療裁判と、大学病院の腐敗や闇の部分を鋭く追求していくストーリーは、まさに社会派ドラマと言える、骨太の内容でした。さまざまな医療ドラマがあるなかで、このドラマこそが医療ドラマの最高傑作と言えると思います。

やはり主人公の財前五郎を演じる唐沢寿明さんと、同期で良きライバルの里美脩二を演じる江口洋介さんのキャスティングが良かったです。二人は、「愛という名のもとに」というドラマでもライバル関係で共演しており、このドラマでも互いを認め合いながらも、価値観の相違からぶつかり合う2人を演じていて、このドラマで2人の関係はさらに昇華した感じでとても良かったと思います。唐沢寿明さんは当時40歳ぐらいでありましたが、自信に満ち溢れた財前を見事に演じ切っていましたし、教授になった後の総回診のシーンで見せる貫禄はオーラを纏っていました。一方、江口洋介さんもどんなに財前が悪人であろうとも、最後まで財前に友情をかける姿には心打たれました。また、別のドラマでも2人の共演が見たいです。

大学病院の権力争いをドロドロした感じでストレートに描いていて、とても見ごたえがあります。
唐沢寿明さん演じる主人公の財前が教授になるために、なりふり構わずに策略を練る感じが面白いです。
教授戦での票を勝ち取るために金をばら撒いたりと、正に政治家のような汚いやり方も躊躇なく行う感じがリアルだなという感じがします。
そして、自信過剰な財前と、江口洋介さん演じる堅実派の里美との正反対な二人による対決も見ごたえがあります。
また、財前は黒木瞳さん演じる愛人がいるので、妻を演じる若村麻由美さんとの対決も楽しめます。
そして、財前は大学などでは扱いづらい感じの少し嫌な感じですが、田舎の母親との電話では優しい一面を見せるのも良いです。

まずは、なんといっても主人公の財前を演じている唐沢寿明さんが注目で、完璧な役作りで、役に入り込んで演じている感じが流石の風格を感じさせて素晴らしいと思います。
そして、振り切った感じの自信過剰家をキャラが濃いい感じで演じていて、最高です。
見ていると本当にああいう感じの性格だろうなと思えてきます。
また、財前のライバルであり、親友である里見を演じている江口洋介さんも、本当に良い人という感じを醸し出していて良いです。
そして、黒木瞳さんが愛人役、若村麻由美さんが奥さん役、また西田尚美さんが医局員として出演していたり、 木村多江さんが製薬会社の社員として出演されていたりと脇役の女優陣も存在感のある方が多くて見ごたえがあると思います。